NVC:心理学者マーシャル・ローゼンバーグ博士により提唱された、コンフリクトを乗り越えるためのコミュニケーション方法。家庭やビジネスといった日常のシーンから、国家間の紛争調停や、紛争後の民族間の相互理解と和解のステージまでと適用範囲は広いです。
このワークショップの中で、興味深い経験をしました。
このNVCでは、評価判断は一切横におき、その人の言葉や感情の奥にある、根源的な欲求である「ニーズ」が何かということに焦点を当ててコミュニケーションを行います。
needs-wheel (具体的にどのようなニーズかはこちら参照ください)
根源的なニーズは世界10数か国でワークショップを行った経験から、人種、国家、言語、宗教などに関係なくほぼ同等のものになるとのこと。
少し端折りますが、片方のニーズを満たすのではなく、お互いのニーズを満たす状態を目指しています。
あるワークでの事です。
ストーリーテリングで語り手の話をとにかく聴きます、そして話が終わったところで話し手にどんな「ニーズ」があったかを聞き手は「ニーズカード」(ニーズの一つ一つがカードになったもの)を渡して伝えます。
needs card
約10人一組で行ったのですが、その中には外国の方がいました。
それも、英語ではなくポルトガル語とヘブライ語が母国語!
通訳が入るのかと思いきや、ストーリーテリングは母国語で通訳なしで行います。
英語ならともかく、ポルトガル語、ヘブライ語に関しては全くわかりません。
ポルトガル語で話す女性の順番になり、僕らはすべての感覚を使って彼女の話を聴きます。
約5分間、もちろん内容に関しては全く(本当に全くw)わかりません。
ただ、その中でも彼女から聴こえた「ニーズ」をカードを使って彼女に伝えます。
彼女はとても驚いた様子でした。
何が起きたかというと話の内容がわからないはずの人たちからもらった、ニーズカードは彼女にとってすごくしっくりくるものばかりだったのです。
僕も、不思議な感覚ですが彼女の話の内容は全くわかりませんが、彼女のニーズはとてもクリアに伝わって来た気がしました。
言葉の内容がわからない分、なんだかすごく素直に彼女のエネルギーだけが入ってくるような感覚で、何かもどかしい感じや、悲しみ、認めてほしい気持ち等が聴こえてきました。
言うまでもないですが、もう一人のヘブライ語で話した男性も同じことが起きました。
この経験は本当に感動したとともに、僕の中である一つの問いも生まれました。
「言葉がわかることで、かえってその人の本来のニーズが見えなくなるのかもしれない」
というのも、不思議なことに大半の日本語でのストーリーテリングよりも、理解できない言語で話した2人のほうがすんなりニーズが伝わってきたような感覚が残った気がしたのです。
言葉があることはすごく助けになるけれど、その分言葉に頼ってしまうこともある。
エネルギーから多くのものを感じ取れるのは、根源の「ニーズ」が共通しているからということも知りました。
僕がコーチをする理由、「本当の声を聴く」事にもつながる大切な大切な体験です。
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